夜尿症って何?
夜尿とは、いわゆる「おねしょ」で睡眠中に起きる尿失禁のことです。5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合は「夜尿症」と診断され、治療が必要な場合があります。夜尿症は5歳で約20%、7歳で約10%、10歳で約5%にあると言われていて、子どもによくある症状です。夜尿が続くと子どもの自尊心が低下し、トラウマの原因になるなど心理面で影響を与えることがあります。
おねしょで悩んでいる方へ
おねしょは子どもの性格や育て方などとは関係のない、子どもにありふれた症状です。
精神論や根性論でどうにかなるものではないです。子どもや保護者自身を責めたりしないでください。大切なのは「あせらない、怒らない、比べない、ほめる」ことです。
おねしょをしたい子どもはいません。おねしょをしてしまった子どもを怒ったり、兄弟と比べたりせず、約束が守れたりおねしょがなかった日はしっかり褒めてあげましょう。
夜尿症の治療は本人の治そうという意欲と保護者の協力が何より大事なのです。
夜尿症の原因は?
寝ている間につくられる尿量が多すぎたり、膀胱が小さいため尿を十分にためられないことが関係しています。膀胱が尿であふれそうになってもトイレに行くために目が覚めなければ、寝ている間に尿もれ=おねしょ(夜尿)が起こってしまいます。
どうしたら夜尿症は治るの?
夜尿症は、成長とともに自然に治ることが多いです。ただし、医療機関で適切な診断や治療を受けることで、2~3倍治る率が高くなることが知られています。
まずは生活習慣を見直してみて、おねしょの頻度が減るか様子をみてみましょう。「おうちでできること」の項目から改善できそうな生活習慣があれば1ヶ月程度とりくんでみましょう。
長い間の習慣を変えることは簡単ではありません。それを理解して、焦らず辛抱強く行ってください。子どもは「あれもダメ、これもダメ」と制限される環境だとストレスを抱えてしまいます。寝る前にトイレに行けたら褒めるなど、何か一つでもできたことがあれば子どもを褒めてあげましょう。
おうちでできること
規則正しい生活をする
夜更かしや不規則な生活はおねしょを悪化させます。朝食と昼食はしっかり食べ、夕食は少し控えめにします。夕食後から寝るまでの時間が短いとおねしょしやすくなるため、夕食後から寝るまでは2~3時間あけましょう。
水分の取り方に気をつける
寝る前に水分をとりすぎるとおねしょにつながります。日中は水分をしっかりとり、昼食の後からは水分(ジュース、お茶、牛乳など)を控えめにしておきましょう。夕食後から寝る前まではコップ1杯(200ml)程度までの水分摂取にとどめましょう。
塩分を控える
塩分をとりすぎると、のどが渇いて水分をとりすぎてしまったり、体に水分がたまりやすくなって、おねしょの原因になります。特に夕食時にみそ汁などの塩分の多い汁物は控えましょう。
便秘に気をつける
腸内に便がたまることで膀胱を圧迫して、おねしょの原因になっていることがあります。まずは排便習慣を確認し、排便回数が少ない(週2回以下)・便が硬くて出しにくい・便が出し切れず残っている感じがするなど便秘症状がある場合は便秘の治療も同時に行いましょう。
寝る前にトイレに行く
トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。
布団に入って30分~1時間経っても寝付けない時は、もう一度トイレに行きましょう。
寝ている時の寒さ(冷え)から守る
冷えは、尿量が増えたりや膀胱が縮まったりして、尿がためられない原因となります。
特に冬は下着を重ね、靴下を履き、体を冷えから守り暖かくして寝ましょう。
夜中、無理にトイレに起こさない
保護者の都合で夜中に無理にトイレに起こしても、夜尿の治療に効果はありません。
それでも治らない時は・・・
アラーム療法
寝る前に子どものパンツに小さなセンサーをつけることで、尿でパンツが濡れるとアラームが鳴ります。夜尿で衣服がぬれた時すぐに気付かせることで、寝ている間に貯められる尿の量を増やしたり、尿意に気付いて起きることで夜尿回数を減らしていく方法です。少なくとも6週間以上、毎晩装着する必要があるため、本人の意欲と家族の協力が不可欠です。専用機器の購入が必要です。詳しくはスタッフへお尋ねください。
アラーム療法の流れ
センサーの先端をパンツが最初に濡れそうな場所に装着する。(汗でしめる場所は避ける)
アラームが鳴ったら起きて、アラームを止める。
「尿が漏れ始めたことに自分で気づき、尿が全て出てしまう前に我慢する」という経験を繰り返すことで、だんだん膀胱にためられる尿の量が増えます。子どもがアラームで起きられない場合は、ご家族が子どもにアラームが鳴ったことを伝え起こしてください。
尿のもれ始めに気付くために、アラームに反応できる人(家族)の協力が不可欠です。
起きてトイレに行っても良いし、自分でアラームを止められる子どもはそのまま眠り続けても良い。
(欧米の研究で、トイレに行ってもそのまま寝ても結果に差は出なかったと報告があります)
薬物療法
夜尿症の薬はいくつか種類があります。年齢や症状に応じて使う薬はさまざまです。薬に関しては十分に医師と相談し、本人と家族が納得できたら処方されます。薬を止める時も効果があったかどうかを確認しながら決めるので、定期的な受診で医師と治療について話し合いましょう。薬を勝手にやめることがないようにしてください。
どちらかのお薬が処方されます。
- 尿の量を調節する働きを持つ薬
体内で尿の量や水分を調節しているホルモンと似た成分を補い、尿量を減らします。
- 膀胱の収縮を抑える働きを持つ薬
膀胱の緊張をゆるめ、膀胱の収縮をおさえることで、尿を多くためられるようにします。