予防接種
予防接種とはワクチンを接種して免疫(病気に対する抵抗力)を作ることにより発病を予防したり、症状を軽くしたりする方法です。
強い免疫ができるなら自然感染の方がいいのでは?と思われるかもしれませんが、予防接種が必要な病気は重症化すると後遺症のリスクや命に関わる危険性のあるものばかりです。
予防接種は実際に発症させることなく、他人へうつす心配もなく、安全に免疫を作り出せるという大きなメリットがあります!また、医学的理由で予防接種できない人を守ります。
当院では、VPD(ワクチンで防げる病気)から大切なお子さまを守るために確実に必要な免疫をつけるためのスケジュールを提案しています。ワクチンに関するご不安や同時接種への抵抗があるなどご心配なことがあれば遠慮なくご相談ください。
予防接種

当院で接種可能なワクチン

定期接種

対象年齢は、接種費用はかかりません。(対象年齢をすぎると有料です)
  • 小児肺炎球菌
  • B型肝炎
  • ロタウイルス(ロタリックス、ロタテック)
  • 5種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ)
  • 2種混合(ジフテリア、破傷風)
  • BCG
  • MR混合(麻しん・風しん)
  • 水痘
  • 日本脳炎
  • HPV(子宮頚がんワクチン)(サーバリックス、ガーダシル、シルガード9)

小児肺炎球菌

肺炎球菌も髄膜炎・敗血症・潜在性菌血症・中耳炎などの多くを引き起こす原因の菌です。これによって命に関わる深刻な状態を招くこともあり得ます。小児用肺炎球菌ワクチン・プレベナー20価は肺炎球菌による重症感染症(髄膜炎・敗血症・潜在性菌血症・中耳炎など)の多くを引き起こす13種類の血清型を含みます。接種開始年齢により接種回数が4回~1回と異なりますが、回数が少ないからといって接種開始が遅れないようにご注意下さい。これもあかちゃんにとってとても重要なワクチンです。

B型肝炎

血液や唾液などの接触感染でB型肝炎ウイルス(HBV)に感染し、おこる肝臓の病気です。感染するとHBVが肝臓に住み着き、肝硬変や肝がんを発症したり、免疫が落ちた時に重度の肝炎を引き起こします。若いほど免疫がつきやすく、3回接種で約95%が免疫を獲得することが可能で、防御効果は約20年です。(個人差があります)

ロタウイルス

ロタウイルス胃腸炎は激しい下痢やおう吐によって脱水を起こしやすい病気で入院を必要とすることも少なくありません。けいれんがみられることもあります。感染力はとても強く、感染に注意するだけでは防ぎきることが難しい感染症です。ワクチンにより重症化を防ぐことが可能です。ロタウイルスワクチンは2種類ありますが、当院ではロタテックを採用しております。生後6週から24週までの間に3回経口接種します(シロップを飲みます)。1回目の接種は生後14週6日(生後3か月半過ぎ)までに受けることが推奨されています。

5種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ)

5種混合ワクチンとは、従来の4種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ)に、ヒブ(インフルエンザ菌)ワクチンを加えた新しいワクチンです。ヒブワクチンと4種混合ワクチンを別々に接種する必要がなくなり、接種回数を減らすことができます。
どの病気も、感染することで全身の筋肉や神経に作用し麻痺や呼吸困難になってしまったり、亡くなってしまう場合もあるような重篤なものです。新しく追加となった、ヒブは何かのきっかけで血液や肺の中に侵入すると、敗血症・髄膜炎・急性喉頭蓋炎といった命に関わる深刻な病気を引き起こします。通常は5歳以上の幼児はヒブによる病気にはかからないと言われますが、あかちゃんにとってはとても恐ろしい病気です。2024年度以降は、5種混合ワクチンを用いて接種を行っています。生後2ヶ月になったら、接種しましょう。

2種混合(ジフテリア、破傷風)

11〜13歳未満にジフテリアと破傷風を予防するワクチンを1回接種します。乳幼児期に受けた3種混合または4種混合ワクチンの追加接種として、免疫力を維持することを目的に受けるワクチンです。

BCG

BCGは、結核を防ぐためのワクチンです。実は今現在でも国内では多くの患者さんが発症しており決して過去の病気ではありません。BCGの効果を過信せずしっかり結核に対する意識を高めて頂く事も重要です。
生後5ヶ月~8ヶ月未満で接種することが望ましいとされています。

MR混合(麻しん・風しん)

近年では予防接種のおかげできわめてまれな病気となりましたが、強い症状だけで無く重い合併症がでる事もあり時折ニュースにも流行が取り上げられている病気です。予防接種の効果は高いので忘れず積極的に接種してください。麻しん風しん混合ワクチンは計2回の接種が必要です。1歳(1回目)・年長さん(2回目)になったら早めに受けてください。
■麻しん(はしか)
感染力の極めて強いウイルス。38度前後の熱が一時的に治まったあと、再び39〜40度の高熱と発疹が出ます(二峰性発熱)。咳・鼻汁・目やにの症状も出現し、3〜4日高熱が続きます。気管支炎や肺炎を合併することも多く、脳炎を起こすことも。麻しん患者の1000人に1〜3人が亡くなるとも言われています。
■風しん(三日はしか)
風邪症状から始まり、発熱、発疹、リンパ腺の腫れが出現。2〜3日で治ることが多いですが、年長児や大人は治癒に数日かかることがあり、まれに脳症や血小板減少性紫斑病などを合併します。また妊婦が妊娠初期にかかると、あかちゃんが心疾患や難聴などをもって生まれる先天性風疹症候群になる可能性があります。

水痘

感染力の非常に強いウイルス。初感染では発熱とともに全身に痒みのある水疱性の発疹が出ます。回復後も持続感染する性質があり、免疫機能が低下した際に、帯状疱疹となって現れます。健康な子どもがかかった場合の合併症はまれですが、大人や免疫機能が低下している人がかかると症状が重くなりやすいです。

日本脳炎

高熱、嘔吐、頭痛、けいれん、意識障害などの症状(急性脳炎)になることがあります。症状はウイルスを持った蚊に刺された人100〜1000人に1人程度に出現します。脳炎になると死亡率は20〜40%、神経に後遺症が残る人は45〜70%にもなります。

HPV(子宮頚がんワクチン)

女性の未来を守るために
HPVワクチンは子宮頚がんをはじめ多くの病気の原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防出来るワクチンです。当院ではシルガード9(9価ワクチン)を推奨しています。ご不明な点ご心配があれば遠慮なくお尋ねください。
【接種対象】
小学6年生〜高校1年生の女の子
※男の子も接種可能になります。(自費での任意接種)

任意接種

詳しい費用については、お尋ねください。
  • おたふくかぜ
  • インフルエンザ

おたふくかぜ

ムンプスウイルスの感染により、発熱と耳下腺(耳の下あたり)または顎下腺(あごの下あたり)の腫れがみられます。腫れは両側にみられることが多いです。低年齢ほど症状が出ない不顕性感染が多いですが、感染力はあるため定期的に流行します。合併症として無菌性髄膜炎や難聴を起こすことがあります。難聴は1000人に1人に起こると言われており、治療法がありません。思春期・成人男子がかかると睾丸炎を起こすこともあります。

インフルエンザ

高熱、鼻汁、咳、全身倦怠感などの症状が出ます。通常は1週間程度で症状は改善しますが、抗ウイルス薬を服用すると平均1〜1.5日程度発熱期間を短くすることができます。まれに肺炎や脳症など重症化することがある。子どもの場合、感染を防ぐ効果は乏しいですが、重症化を防ぐ効果が期待できます。ウイルスは毎年少しずつ変異し、流行を引き起こします。毎年流行する株を予測してワクチンが製造され、流行期になる前(10月~12月)に接種されます。
■フルミスト(点鼻ワクチン)
鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンです。生ワクチンですが、従来の不活化ワクチンと効果に大差はありません。
【接種回数】
1回
【接種対象】
2〜18歳
※喘息の診断を受けている方は主治医とご相談ください。
「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」が運営するサイトに、VPD(ワクチンで防げる病気)や、さまざまなワクチン情報について詳しく載っています。接種スケジュールについてもご確認いただけます。

あかちゃんを守る!妊娠中の予防接種について

ワクチン接種をご希望、ご検討の方は当院受付にお問合せください。

RSワクチン

RSワクチン(アブリスポ)の接種可能期間は妊娠24~36週ですが、妊婦28週以降に接種する事で母体から胎児への抗体移行がより効果的といわれています。

百日咳ワクチン

3種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)を接種する事で母体で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生後3ヶ月までの間感染を予防できます。
※家庭内感染を考慮すると第2子以降の妊娠中にワクチン接種のメリットがより大きくなります。
※3種混合ワクチンは5歳以上のお子さまにも接種できます!
5歳頃から百日咳にかかってしまうお子さまが増加していることが問題視されています。あかちゃんを守るためにも、ワクチン接種をお勧めしています。

予防接種スケジュール

初めてのお子さまで不安な方にも、分かりやすいよう予防接種スケジュールをご用意しております。
ワクチンがいくつもあって複雑に感じるかもしれませんが、不安な点はいつでもスタッフへご相談ください。

接種の際にお持ちいただくもの

野洲市、守山市、栗東市、草津市にお住まいの方の予診票はクリニックに準備しております。なるべく、お子さまの普段の健康状態をよく知っている保護者の方が同伴してください。
  • 予診票(自治体指定のもの)
  • 母子手帳
  • 市町村から発行される医療証(マルフク)
  • 両親以外の同伴の場合は委任状(市ホームページからダウンロード可能です。ご不明な点はお尋ねください。)

ワクチンを受けるときは前向きな声かけを

予防接種だけでなく、病院で行う注射は大切なものです。
「子ども達を守るもの」「元気になるために必要なもの」ということを教えてあげてほしいなと思います。
「病気のバイキンがきてもやっつけられるようにするんだよ!元気に過ごすために大切なことだから頑張ろうね」
「痛いのにがんばってとっても強かったよ!最後まで動かずにできたね」
「すごくがんばったからお家に帰ったら○○しようね!(気持ちの切り替えも大切)」
ワクチンを受けるときは前向きな声かけを

子どもが嫌がるときはどうすればいいの?

予防接種を嫌がる子どもも多いですよね。針を刺すことで痛い思いをするので、痛いだけの嫌な思い出にならないよう、接種の前と後の関わりを大切にして前向きな言葉や認めてあげる声かけをしましょう。「今日は注射じゃないよ」と嘘をついたり「悪いことしたら注射されるで!」と注射が罰のようにイメージされる声かけは止めましょう。痛いことをされたら泣いてもいいんです。痛さや怖い気持ちを乗り越えてがんばった子どもをたくさん褒めてあげることで、達成感を感じて前向きな気持ちになります。

ワクチンの前後で・・・こんな声掛けや行動していませんか?

「今日は注射じゃないよ」「痛いことはしないよ!」
嘘をついてしまうと親子の信頼関係に影響することも。お子さまの成長に合わせて、予防接種の必要性も含めてお話ししてあげてください。心の準備ができると頑張れる子も多いですよ。
「悪いことしてたら注射されるで!」
子どもが悪いからされるわけではありません。注射=怖いものというイメージを付けないようにしましょう。
「(痛い思いをして)かわいそうに」「ごめんね」
お子さまが痛がる姿を見るのはつらいかもしれませんが、本人が不安になったり嫌なことをされているという気持ちになってしまいます。前向きな声掛けが嬉しいですね。
「泣いている子どもを見て笑う、または怒る」
泣いてもいいんです。痛さや怖い気持ちを乗り越えて頑張ったお子さまをたくさん褒めてあげてください。子どもたちにとっておうちの方が一番の味方なのです。
お父さん、お母さんは子どもの強い味方!ぜひ、前向きな声かけを心がけましょう!

このような場合は接種ができません

  • 37.5度以上の発熱
  • 1週間以内に38度以上の発熱があった
  • 重症な重篤疾患にかかっている場合
  • ワクチンの成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある
  • その他医師が接種が望ましくないと判断した場合