子どもによくある事故
子どもの様子がおかしいと思ったら受診を考えよう
「いつもより機嫌が悪い」「元気がなくて静か」「見た目にはケガはないけどずっと痛そうにしている」など、子どもの様子がいつもと違う、様子がおかしいと思ったら受診を考えてください。保護者が感じる【いつもと違う】という感覚は、子どもにとって何か良くない状態があると感じ取っているサインだと思います。まずは慌てずに受診してかかりつけ医に相談してみてください。
子どもによくある事故

誤飲、誤嚥

外で遊ぶ時はもちろんケガや交通事故などが起こらないように子ども達を見守っていると思いますが、室内でも子どもの事故には気を付けないといけません。家の中で最も多い事故は「誤飲・誤嚥」です。子ども達の周りの環境を見直し、安全に過ごせるようにしましょう。
誤飲、誤嚥

誤飲(ごいん)とは?

異物を飲み込んでしまうことを「誤飲」といいます。
「誤飲」は特に年齢の低い子どもは、異物かどうか理解できないため誤飲の事故が増えます。約4割は誤飲現場を目撃されていないという報告もあり「さっきまであったはずのものがない」場合、誤飲を疑うことが事故を見逃さないためにも大切です。たばこや医療品、洗剤など成分が体内で吸収されるものは中毒症状がでることもあります。
鼻や耳の穴に自分で異物を詰めてしまうこともあります!(アイロンビーズ、どんぐり、ティッシュなどなど…)自分で取り出せない場合は、病院で取り出す処置が必要になることがあります。

誤嚥(ごえん)とは?

食べ物や異物が気道に入ってしまうことを「誤嚥」といいます。
「誤嚥」は特に3歳以下では奥歯が生えそろっておらず、食べ物をうまくかみ砕けないことで誤嚥することがあります。また、歯が生え変わる時期(6歳〜8歳くらい)も噛む力が弱まるので注意しましょう。気道に異物が詰まり、呼吸できない状態になると「窒息」してしまうため異物を吐き出させるような対処が必要です。
小さな紙やプラスチック、ビニールの破片などは飲み込んでも便になって排出される可能性が高いです。ただし、大きなビニールや紙、葉物野菜などがのどに張り付いてしまうと窒息の危険があります!子どもの様子がいつもと違ったり、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談しましょう。

原因となるものは意外と身近です

窒息や誤飲の原因として、下記のようなものがあります。
ビニール袋、つつみ紙
生後6ヶ月を過ぎると、つかんだものをなんでも口に入れるようになります。子どもの手の届く場所は整理整頓するよう心がけましょう。
電池
特にボタン電池は小さく丸いため0〜1歳児でも簡単に飲み込んでしまいます。電池類は危険だと意識しておきましょう。
たばこ
0〜1歳児ではたばこ誤飲が多いです。電子たばこの吸い殻も危険です。禁煙を心がけましょう。
洗剤など
ジェルボール洗剤や消臭ビーズなどを食品と間違えて食べてしまう可能性があります。
薬剤など
大人の薬を飲んでしまうと、少量でも予期せぬ副作用が起こる可能性があります。また、薬のシートや袋を飲み込んでしまうとのどを傷つけたり張り付いたりして、ケガや窒息の原因になります。
硬貨、小さいおもちゃ(LaQ、アイロンビーズなど)
年齢が大きくなると、おもちゃなどを誤って飲み込んでしまっても「怒られる」と思って言い出せないケースがあるようです。もしもの時は叱らず慌てず対応しましょう。

もしもの時の応急処置について

もしもの時、冷静に対応できるように応急処置の方法を知っておくことも大切です。
・のどに物を詰まらせていそうな呼吸(ヒューヒュー)
・声が出ず顔色が悪い様子
苦しがっている時は背中を叩くなどしてとにかく吐かせる
もしもの時の応急処置について
※下記を飲み込んだ場合は、救急車を呼んで受診しましょう!!
灯油、殺虫剤、除光液、ベンジン、農薬、ネズミ駆除剤

困った時のための相談窓口もあります

※夜間であれば小児救急電話相談『♯8000』でも相談できます。

誤飲・誤嚥の事故を防ぐためのポイント

直径39mm未満のものは飲み込んでしまう可能性があることを知っておく
トイレットペーパーの芯の直径が約39mmなので5センチ程度に切って目安にしてみましょう。隠れるものは、飲み込んだり、窒する危険があります。
小さな生活用品は子どもが手の届かない高さに(目安は1m以上)
子どもの身長に合わせて手が届かないよう工夫しましょう。
台の高さ + 手が届く範囲 =
1歳:90cm
2歳:110cm
3歳:120cm
また、低い扉や引き出しにはストッパーを付けるようにしましょう。
誤飲・誤嚥の事故を防ぐためのポイント
小さなおもちゃは4歳から(ビーズ、小さなレゴ、ラキューなど)
きょうだい(年齢差のある子ども同士)で遊ぶ場合は要注意!
お弁当に入れるピックも気を付けて!
ピーナッツなどの豆類も4歳から
子どもの前でも食べないようにしましょう。
大きな食品は小さく刻んで与える(皮つき野菜・果物、葉物野菜、海藻類など)
特に丸くてツルツルした食品はのどに入りやすいです(飴玉、グミ、餅、豆類、プチトマト、ブドウなど)。プチトマトやブドウなどは皮つきでそのまま与えず、4つに切る・皮をむくなどして与えましょう。
異物を口に入れているのを発見した時は大声で注意しない
異物を口にいれているのを発見した時は、発見者が大声を出して慌てたり叱ったりすると、子どもがビックリしたり泣きだして飲み込んでしまうことがあります。慌てずやさしく口から出させてください。

頭部打撲

転倒や転落によって頭をぶつけてしまうことがあります。頭部に傷がなく、意識がいつも通りで問題なければ慌てて病院を受診する必要はありません。打ったところを冷やすなどして様子を見ましょう(頭部に傷がある、意識がおかしいなど、子どもの様子で心配なことがあれば受診しましょう)。ただし、受傷後48時間程度は子どもの様子に変化がないか注意しておきましょう。

正しく知って安心!頭を打ったときの対応

まずは意識の確認を!

名前を呼んだり、肩を叩くなど少し刺激を与えてみて意識状態を確認しましょう。頭を打ってすぐに泣いた場合は、意識がはっきりあると考えて良いでしょう。

ケガ(傷・こぶ)や痛みがあるかどうか!

頭部のケガは少しの傷でも出血が多く、保護者が焦ってしまうことが多いです。押さえるとすぐに止血した場合は心配ないでしょう。また、こぶやあざ(内出血)ができる場合があります。こぶは500円玉より小さい程度であればまず問題ありません。

頭を打ってからは48時間は子どもの様子を確認しましょう

頭を打って数時間以上経ってから意識障害などの症状が出てくることがあります。子どもの様子に変化がないか近くで観察しましょう。こぶやあざができている場合、子どもが嫌がらなければ保冷剤や氷水で冷やしましょう(無理して冷やす必要はないです)。また、頭を打った当日は激しい運動をしないようにしましょう。

頭部打撲の事故を防ぐポイント

  • ハイハイやつかまり立ちを始めたら、階段や高い玄関にはガード柵を付ける
  • 室内でフローリングなどの固い床には、カーペットやジョイントマットを敷いておく
  • 家具の角に保護カバーを付けるなどして鋭利な部分にぶつからないようにする
  • ベランダなど危険なところにつながるドアや窓は必ず施錠したり、ストッパーをつけておく
  • 自動車に乗せる時は必ずジュニアシート、チャイルドシートを装着し、後部座席に乗せるようにする
  • 自転車、三輪車、キックボードなどに乗る時は、必ずヘルメットを着用するよう習慣づける

症状別にみる対処法

救急車を呼ぶ すぐに受診
・意識がない
・けいれんしている
・手足のまひ・動きの左右差
・呼びかけに反応が悪い
・歩くときふらつく
・受け答えの言動がおかしい
・こぶがどんどん大きくなる
・出血が止まらない
・強い頭痛を訴える
・何度も嘔吐する

水の事故

水の事故は水遊びやレジャーの時だけでなく、家庭内でも起こる可能性があります。安全に気をつけて楽しい時間を過ごすために、事故防止のポイントを確認しましょう。
水の事故

子どもは静かに溺れます!

溺れる時はバシャバシャと音を立てるイメージ、ありませんか?実際は何が起きたか分からず、呼吸に精一杯で声を出す余裕もなく静かに沈みます。過去には家庭用のビニールプールでも溺水事故が発生しています。たとえ短時間でも、わずかな水量でも溺水が起こる可能性があります。
お風呂で親が髪を洗っている間に…という事故もあります。たとえ短時間でもわずかな水量でも溺水は起こる可能性があることを知っておきましましょう。

水の事故を予防するポイント

  • 子どもだけで入浴、水遊びしない
  • 大人の洗髪時は子どもを湯船から出すか、絶えず声をかける
  • 湯船には大人が先に入り、出るときは子どもを先に出す
  • 風呂の残り湯や洗濯槽に水をためておかない
  • 浴室を使わない時はカギをかけるなど、子どもが入らないようにする
  • 水のレジャーの際は必ずライフジャケットを装着する
  • 川や海などに入るときはしっかり止められて脱げない靴を履く
  • 気象状況に注意し、天候が悪い時はレジャーを中止する

やけど

子どもは皮膚が薄いため、低い温度でも短時間でやけどしてしまうことがあります。やけどしてしまったら、服の上からでも良いのですぐに5〜10分程度流水などで冷やしましょう(耳や目の付近は冷たいタオルを当てましょう)。水ぶくれができたり、やけどの部分がジュクジュクする場合は、すぐに皮膚科や外科を受診しましょう。

知ってると安心!やけどの応急処置

10分ほど冷水で冷やす

水圧が強くならないようにしましょう。服を着たまま、やけどをした場合は服の上から流水で冷やしてください。耳や目など流水が当てられない場合は、保冷剤を包んだタオルや冷たいタオルで冷やしてください。

水ぶくれができた場合は、潰さないようにガーゼなどで保護する

痛みが強い場合、解熱鎮痛剤を使用して痛みを和らげることもできます。

症状別にみる対処法

救急車を呼ぶ すぐに受診 診療時間内に受診
・全身の10%以上のやけど(片腕・片足で10%相当)
・やけどの状態が深い(皮膚が白く変化)
・顔面のやけど
・手や足の指のやけど
・陰部のやけど
・水ぶくれができたやけど
・やけどの範囲が狭い
・皮膚が赤くなっているのみ

やけどの事故を防ぐポイント

  • 子どもの手の届くところに、炊飯器などの湯気の出る家電やアイロンを置かない
    ※ヘアアイロンも要注意!コードを引っ張ってしまうこともあります。
  • ストーブやヒーターを使用する時は、近づきすぎないように安全柵で囲う
  • ホットカーペットやこたつ、湯たんぽなどに長時間当てない
    ※低温やけどする可能性があります。
  • 電気ポットや熱い飲み物の置き場所に注意する
    ※高い机の上に置いていても、テーブルクロスや電気コードを引っ張って熱いものをこぼしてしまうこともあります。机にテーブルクロスを敷かないようにしたり、電気ポットは引っ張るとコードが簡単に外れたり、倒れても中身がこぼれにくい製品を選ぶようにしましょう。
  • フライパンや鍋の持ち手は奥に向けておく
    ※持ち手が手前に出ていると、子どもがお手伝いしようとして触ってしまいひっくり返すことがあります。子どもから見えない位置に向けておきましょう。

出血を伴うケガ

知ってると安心!ケガの応急処置

まずは傷口を流水で洗う

砂や泥などの汚れを落としましょう。消毒液は傷ついた組織にダメージを与えてしまいかえって治りが遅くなることがあるので注意しましょう。

出血が続く場合は清潔なガーゼやタオルなどで傷を押さえる(圧迫止血)

傷口より心臓に近いところを縛る!というのは間違いです。傷そのものを圧迫しましょう。

傷が隠れる大きさのハイドロコロイド素材・絆創膏で覆う

最近はハイドロコロイド素材(キズパワーパッドなど)で皮膚を湿ったまま保つ方が治りがよいとされています。使用上の注意を確認して使用してください。
絆創膏を使用する場合は1日1回(中が濡れてしまったらその都度)貼りかえるようにしましょう。

症状別にみる対処法

救急車を呼ぶ すぐに受診 診療時間内に受診
・出血が大量で止まらない
・けいれんしている
・意識がない
・出血量は多くないが、止まらない
・ガラスなどが刺さり取り除けない
・指の曲げ伸ばしができない
・深い傷・大きな傷
・汚染が強い傷
・動物に噛まれた傷
・傷がなかなか治らず、じゅくじゅくしている

鼻血

知ってると安心!鼻血の応急処置

小鼻をしっかりつまむ(圧迫止血)

途中で確認せず10分程度続けて押さえましょう!

椅子などに座って顔は少し下を向くようにする

上を向くと血が喉の方に流れてしまい、吐き気に繋がることがあります。

10分後血が止まったか確認し、止まっていなければ再度圧迫する

血が止まるまで繰り返します。

症状別にみる対処法

救急車を呼ぶ すぐに受診 診療時間内に受診
・圧迫止血しても出血が止まらない時
・顔面の外傷で鼻血が止まらない時
・鼻出血が頻繁に出るがすぐ止まる時
・1日に何度も出血を繰り返す時

虫刺され

知ってると安心!虫刺されの応急処置

よく洗う

石鹸などでよく洗って、流水で流しましょう。

しっかり冷やす

患部を保冷剤などでしっかりと冷やすと、かゆみが軽くなります!

かゆみ止めの軟膏を塗る

抗ヒスタミン薬やステロイド入りの軟膏がおすすめです。

虫よけのお薬について

【主成分:ディート】
6ヶ月未満は使用不可
6ヶ月〜2歳未満は1日1回
2歳〜12歳未満は1日1〜3回(30%濃度のものは6〜8時間有効)
【主成分:イカリジン】
年齢制限なし
塗る回数の制限なし(15%濃度のものは6〜8時間有効)
虫よけのお薬について
※植物由来の虫よけは効果が低く、持続時間も20分程度といわれています。
※日焼け止めと併用する場合、日焼け止め→虫よけの順で使用しましょう。

症状別にみる対処法

救急車を呼ぶ すぐに受診 診療時間内に受診
・アナフィラキシー症状がある(呼吸が苦しい、顔色が悪いなど) ・マダニに噛まれた(※マダニは取り除かずに病院へ!) ・痛み、腫れなどの症状が1週間以上治らない
・かゆみが強く掻きむしってしまう

救急車の呼び方

室内でも、屋外でも、どんな季節でも事故は突然起こってしまうものです。今回は、もしもの時の救急車の呼び方についてお伝えします。
状況によっては応急処置を指示されることもあるのでメモの準備をしておきましょう!
救急車の呼び方

もしもの時もあわてない!救急車利用の流れ

119」に電話し「救急です」と答える
決して慌てずに落ち着いて電話してください。
症状や怪我の状況などを伝える
誰が」「どうしたのか」「どんな状態か」を正確にわかりやすく伝えましょう。
例)○歳がけいれんしています。右の手足だけ動きが強いです。
場所を聞かれたら住所や目印になるものを伝える
家の周りにどんな建物があるか覚えておきましょう。
例)○市○番地です。近くに小学校があります。
子どもの名前と電話番号をはっきりと答える
例)名前は○○○○、連絡先は○○○○○○○です。
サイレンが聞こえたら外に出て誘導する
一人しかいなければ、誘導せずに子どものそばにいてください。

あると便利!持ち物リスト

そのまま入院の可能性も…。救急車が来るまでに準備しましょう!
  • 健康保険証、母子健康手帳、市町村から発行される医療証(マルフク)、おくすり手帳
  • おむつ・おしりふき
  • タオル・手拭き
  • 哺乳瓶・ミルク
  • 現金
  • 子どもの着替え
  • ビニール袋(濡れたものやゴミを入れたり何かと便利)
  • 携帯電話・スマートフォン
あわててしまうと思いますが、落ち着きましょう
誰もが混乱する状況だと思いますが家の鍵のかけ忘れには注意です!
また、きょうだいがいる場合預け先をどうするかなど日頃から考えておきましょう。